バイナンスコイン(BNB)とは、世界最大級の暗号資産取引所であるバイナンスが発行するトークンです。
この記事では暗号資産(仮想通貨・トークン)に投資する為の評価分析方法で作った枠組みを使って、バイナンスコイン(以下BNB)について投資評価分析をしてみます。
数値はすべて記事修正時点(2021年5月11日)のものです。
需給のバランス
時価総額はすでに高い位置にあるが、供給量が減っていくのと、保有インセンティブが高いことから、需給のバランスは悪くなさそうです。
時価総額
約1000億ドル、日本円で約11兆円。
暗号資産としてはビットコイン、イーサリアムに次ぐ第3位の時価総額を誇ります。
バーンと新規発行
バイナンスでは四半期ごとに前四半期で得た営業利益の20%にあたるBNBをバーンすることになっています。
さらにBNBの発行上限数は2億BNBとなっており、これは既に全数量が発行済みです。
バイナンスはこのBNBを定期的にバーンすることにより1億BNBにするとしているので、変更が無ければこれ以上新しいBNBが市場に出てくることは無いということです。
保有するインセンティブ
BNBは、バイナンスで取引するための手数料(BNBを利用した方が安くなる)に使われるだけでなくバイナンススマートチェーンというブロックチェーン上でトランザクションを通す時の手数料に使用されたり、BNBを預けてファーミングができたり、BNBで直接買い物ができたりと、様々な使用用途があり保有するインセンティブが高いです。
特にBNBヴォールトでは、BNBを預けておくだけでフレキシブルセービング、BNB DeFiステーキング、 ローンチプールを結合し、自動で最高のAPYリターンを提供してくれます。
プロジェクトの成長性
非常に大きな市場の中で事業範囲を拡大しており、十分な競争優位性も保持しています。
市場の大きさ
バイナンスがサービスを展開する主な市場は全世界をターゲットとした暗号資産取引所です。
2020年の仮想通貨の普及率がIT先進国である米国で10%程度だったことを考えると、まだまだ世界中で大きな開拓余地があります。
暗号資産取引所を軸に、保管~運用にも事業領域を広げていっています。
さらに、イーサリアムに代表されるパブリック・ブロックチェーンのバイナンスバージョンとしてバイナンス・スマート・チェーン(BSC)を開発提供し、現在多くのDeFiプロジェクトがBSC上で動いています。
ちなみに【DeFi】暗号資産の運用プラットフォーム『xWIN』の使い方で紹介したxWINもBSC上で動いています。
競争環境
暗号資産取引所といえばコインベースの上場が記憶に新しいですが、コインベースの2020年の総売上高は12億7000万ドル(約1350億円)、純利益は3億2200万ドル(約342億円)でした。
暗号資産の購入や交換は、取引所の他にもDEXのようなスワップサービスも伸びてきており、競争は激化していくと考えられます。
市場が成熟して最終的に大きなシェアを取って利益を稼げるのは上位10社程度ではないでしょうか。
プロジェクトの優位性(模倣困難性)
既に世界最大級の暗号資産取引所だという先行者優位があります。
最大手の取引量から稼ぐ豊富な資金で開発力を強化し、ユーザーの利便性を高められる企業であり、規模の経済が働く大きな競争優位性です。
更にブロックチェーン(BSC)、ウォレット、バイナンスPayなど、取引~保有~運用~使用まで周辺への事業展開を進めており、マーケティングや人材面で範囲の経済が働きます。
1人のユーザーに対して様々なサービスを提供して客単価を上げているのです。
プロジェクトの安全性
セキュリティ対策は業界内でも最高水準の取り組みであり、運営の意識も高いと言えます。
バイナンスが安全でないなら、他の取引所はどんな評価になるのでしょう。
セキュリティ評価
2019年5月にハッカーによるサイバー攻撃を受けて7000ビットコイン(当時日本円で44億円相当)が不正に引き出された事件がありました。
しかしその事件を活かしてセキュリティ対策を強化し、同年9月には国際標準化機構(ISO)が定める基準を満たしたとして、情報セキュリティ認証を受けたと発表しました。
バイナンスによると、国際的に認められた情報セキュリティ管理に関する規格であるISO/IEC27001に準拠するために、ノルウェーに本拠を置く国際認定認証機関及び船級協会であるDNV GLと、企業をさまざまな基準で評価する国家認定機関、英国認証機関認定審議会(UKAS)の監査を受けたという。
引用:https://www.coindeskjapan.com/22459/
運営主体
バイナンスは企業が運営する金融サービスなので、ビットコインやイーサリアムといったDecentralized(分散型)ではありません。
創業者の趙長鵬、Changpeng Zhao(通称CZ)はモントリオールのマギル大学でコンピュータサイエンスを学び、ソフトウェアエンジニアとして東京証券取引所やニューヨーク証券取引所のシステム構築を手掛けたというバックグラウンドがあります。
最大手の仮想通貨取引所という点では信頼度も高いと考えられます。
まとめ
需給のバランス、プロジェクトの成長性、プロジェクトの安全性という面で評価した時に、BNBは投資に値する暗号資産だと判断できます。
私自身はBNBを暗号資産ポートフォリオの15%程度で保有しており、今後も売らずに保有する予定です。
ただし、暗号資産市場全体が暴落した場合にはBNBも相当価格が下がり、もちろん無価値になる可能性もゼロではありません。
※これは金融アドバイスではありません。投資は自己責任で行いましょう。
バイナンスコイン(BNB)を購入して運用するには
まずバイナンスでアカウントを作成します。
本人確認不要で、メールアドレスだけあれば作れます。
ただし、2021年5月時点では、バイナンスは日本円での入金ができません。
クレジットカードで取引ができますが、手数料が高いというデメリットがあります。
ですのでコインチェックなど日本の取引所で何かしらの暗号資産を購入し、それをバイナンスのウォレットに送ってBNBに交換するというのが現実的な対応策です。