ボリンジャーバンドはアナリストのジョン・ボリンジャー氏が考案したトレンド系のテクニカル指標で、とても人気が高く世界中で使われています。
ボリンジャーバンドは一定期間の値動き平均(ミッドバンド)に比べて、現在の価格がどれだけ高いか低いかを偏差値(±1σ、±2σ)で表しています。
ボリンジャーバンドの構成要素
ボリンジャーバンドはミッドバンドとミッドバンドを挟む上下±1σ、±2σの5本のバンド線で構成されます。
ボリンジャーバンドに含まれる情報
①トレンドの方向性:ミッドバンド
②ボラティリティ:バンドの幅
③相対的な価格の高さ:バンドの中での価格の位置
ミッドバンド
ミッドバンドは一定期間(ボリンジャー氏は20日を使用)の単純移動平均線で、トレンドの方向性を教えてくれます。
直近の値動きに重きを置く指数平滑移動平均線だとミッドバンドが偏差値50にならないので、単純移動平均線を使用します。
バンド
過去20日間の各終値を元に標準偏差を計算し、移動平均線と比べて標準偏差が1大きい(小さい)価格を繋いだ内側の線が±1σの線、2大きい(小さい)価格を繋いだ外側の線が±2σの線です。
この±1σ、±2σの線をバンド(+をアッパーバンド、-をロワーバンド)と呼びます。
バンド幅がボラティリティの高低を、バンド幅の中での価格の位置が相対的な価格の高さを教えてくれます。
ボリンジャーバンドによくある誤解
ボリンジャーバンドの使い方で、
±2σのバンドを超える確率は4.5%という稀なことで、そんな状態は長続きしない。
それゆえ「+2σを超えたら売り、-2σを下回ったら買い」
と、よく言われます。
しかし、実際は過去の値動きに対して「高いから下がる、低いから上がる」というわけではないので、+2σを超えたら売り、-2σを下回ったら買いという手法は優位性のあるセットアップとは言えません。
偏差値で使用する標準偏差は正規分布であり、データが±1σまでの間にある確率は68.3%、±2σまでの間にある確率は95.5%です。
しかし価格変動は正規分布ではないので、±1σに68.3%、±2σに95.5%が入るということにはなりません。
更に価格が±2σの中に戻ることと、その時に価格が反転上昇/下落するかどうかは別の話です。
もみ合い相場では機能することもありますが、その手法でコツコツ稼いだ利益はトレンドが発生した時に吹き飛ばされます。
ボリンジャーバンドの使い方
ボラティリティ・ブレイクアウト
ボリンジャー氏は上述の「+2σを超えたら売り、-2σを下回ったら買い」という単純なセットアップを否定し、ボラティリティ・ブレイクアウトを使った順張り手法を推奨しています。
バンド幅が最も縮小するタイミングをスクイーズ、最も拡大するタイミングをボージと呼び、スクイーズはトレンドの始まり、ボージは終わりを示すことが多いです。
ボラティリティ・ブレイクアウトは、スクイーズ発生後の±2σタッチでその方向に向かって買いか売りエントリーをし、ボージで決済するという手法です。
ボリンジャーバンドを補助する%bチャート
%bチャートはバンド上限とバンド下限の間で、現在の価格が下限から何%の位置にあるのか示すテクニカル指標です。
%bチャート=(価格-バンド下限)÷(バンド上限-バンド下限)×100
1.0超え:+2σ超えていて勢いがある。バンドウォークしている。
0.5~1.0:ミッドバンドから+1σで勢いは強くない。
安定的に上昇or下降するバンドウォークを見つけたり、相場の強弱を判断したりするのに使います。
もみ合い期に取れる利益は小さく、終わる瞬間にドカンとやられます。
もみ合い中に考えるべきことは、利益を上げることではなく「もみ合い放れ」を素早く見つけること、そのもみ合い放れを教えてくれるのがボリンジャーバンドのスクイーズなのです。
より詳しく学びたい場合の参考書籍
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テクニカル分析の書籍にありがちな「これが買いサイン、売りサイン」という、簡単だが中身の薄い分析とは異なり、「なぜそうなっているのか?それはどういうことなのか?」をしっかりと伝えてくれる良書です。
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