株価が上昇していく唯一の要因は売りを上回る買い需要であり、その背景には必ず大口投資家の存在があります。
大口投資家の動きを知ることは、その後上昇していく銘柄を掴むために非常に重要です。
大口投資家とは機関投資家を指す
生命保険会社や損害保険会社、信託銀行、投資顧問会社、年金基金など、顧客から集めた大量の資金を使って株式や債券で運用を行う機関投資家を指します。
日本株売買の60%を占めると言われる外国人投資家(機関)もその一つです。
上記に挙げたような機関投資家は資金が大きいので基本的には時価総額が100億円くらいの小型株には入ってきません。
しかし大口投資家といっても資金のサイズは様々で、レオスキャピタルワークスのひふみ投信のように、新興の成長株にガンガン投資するファンドもあり、時価総額が小さい銘柄にも対時価総額で相対的に大きな資金が入ることは珍しくありません。
このような他人のお金を預かって組織的に運用している大口投資家はプロが集まっているので、個人投資家とは比較にならないレベルの精度で情報収集や企業分析をしています。
ですので、大口投資家が買っている銘柄というのは、様々な調査や分析の結果、自信を持って「この銘柄は上がる」と考えている銘柄だと言えます。
大量保有報告書とは5%を超えて保有した際の割合増減報告
金融商品取引法には、上場企業の株式を5%を超えて保有した者は、5営業日以内に大量保有報告書を提出しなければならないというルールがあります。(5%ルール)
そしてその後に、保有割合が1%以上増減した場合や、保有目的が変更となった場合などは、5営業日以内に変更報告書を提出しなければなりません。
大口投資家はこの大量保有報告書に頻繁に出てきます。
大量保有報告書をチェックするためのお勧めサイト
大量保有報告書を確認するのに便利なサイトやアカウントを紹介します。
有報速報
最新の有価証券報告書をWeb, RSSで速報しているサイトです。
このサイトの書類別の報告書というカテゴリーの中に大量保有報関連報告書という項目があり、大量保有報告書、変更報告書、訂正報告書など、大量保有に関する報告書をまとめて見られます。
https://toushi.kankei.me/d/category:hold
M&AOnline大量保有速報
M&A Onlineが運営する、大量保有報告書データベースの公式アカウントで、大量保有報告書を速報でツイートしています。
大量保有報告書提出後の値動きを事例でチェック
大量保有報告書が提出された後、実際の株価がどのようになったかを事例を用いて見てみます。
ジャパンエレベーター(6544)の例
ジャパンエレベーターサービスHDが上場して間もない、2017年4月6日にNOMURAINTERNATIONALPLCが「証券業務に係わる商品在庫として保有」として大量保有報告書(5.32%)を提出しました。
NOMURA INTERNATIONAL PLC 大量保有報告書
キャピタルゲイン目的の純投資としてではなく商品在庫としてなので、貸株用か、もしくは野村を通した機関投資家からの買い注文かだと思います。
大量取得日のチャート
大量保有報告書に記載されている3月31日に5%を超えたということであり、買い始めているのはもっと前であると推測されます。
高く見積もっても1110円程度だと思います。
その後の株価チャート
1→2の株式分割を行ったので、株価は取得時が555円として10ヵ月で約4倍近くまで値上がりしています。
WASHハウス(6537)の例
もう一つは大口投資家の項目で紹介したレオスキャピタルワークスがWASHハウス(6537)について大量保有した例です。
こちらは上場初日に大量に購入し、約4カ月後にはその20%近くを利食いしています。これは全て大量保有報告書に記載されている情報です。
おそらく平均取得単価は1800円程度で、利食い単価は5500円程度ではないでしょうか。
4ヶ月で3倍は驚異的なパフォーマンスです。
その後の株価チャート
まだ保有分が残っているとはいえ、すごいの一言です。
低時価総額銘柄に対する大口投資家の影響力を理解するには十分なチャートだと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
個人投資家が株式投資で稼いでいくためには、大きな流れに乗ることが大切です。
どんな銘柄が大口投資家の投資対象になりやすいのか、大口が入ったチャートはどのような形をしているのか、よく研究して投資に活かしましょう。
個人的には監視していた銘柄が、地合の悪化などで一時的に大口投資家の買値よりも安くなったところで買うのが良いと思います。
ただし大具投資家の損切りが降ってくる可能性もあるので、チャートを見ながらしっかりと損切りポイントを設定しておきましょう。
チャートの活用方法はこちらの記事をご覧ください。